介護派遣

介護派遣の「9つのあるある」と避けるべき職場での立ち回り方4つ

介護のあるある
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「介護派遣の仕事をする予定だけど、うまく職場になじめるか心配」と、不安で眠れない日々をすごしていませんか。しかし「介護派遣のあるある」を知れば、介護派遣の仕事で地雷を踏まない働き方がわかります。

とはいえ「あるあるを知っても、具体的にどのようにして行動に移せばいいの?」と、頭を抱える方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は介護の仕事を19年、現場の職員から施設ケアマネ、管理職を経験した筆者が、9つの「介護派遣あるある」を通して介護派遣職員の立ち振る舞い方を解説します。

介護派遣職員の立ち振る舞い方がわかると、派遣先の職場でもトラブルなく適応して自分の力を存分に発揮できますよ。ぜひ最後までお読みください。

介護派遣のあるある9選

車いすに乗った高齢女性と握手をする女性介護士

介護派遣の仕事は「介護」と「派遣」といった独特の働き方が合わさっているため、外野からはうかがい知れない部分が多くあります。

ここでは、多くの介護派遣職員が共感するであろう「あるある」を紹介します。介護派遣で働いている方だけでなくこれから働こうと考えている方も、介護派遣の「あるある」を知って今後の働き方に役立ててください。

紹介する「介護派遣のあるあるエピソード」は以下の9つです。

介護派遣のあるあるエピソード

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  • 出勤カードがわずらわしい
  • 指導職員がつかずいきなり現場に出される
  • 自分の判断でどこまでやっていいのか悩む
  • 社員が派遣職員の給料に興味津々
  • 気づくと周りは派遣職員ばかり
  • 職場に慣れる前に契約が終わる
  • 「派遣には高い金を払っている」と時間いっぱい働かされる
  • 正社員になるようにしつこく勧誘される
  • 派遣される職場は労働環境の悪いケースが多い

出勤カードがわずらわしい

介護派遣の職員は派遣会社と雇用関係を結んでいるため、派遣職員の勤怠は派遣先の職場ではなく派遣会社がチェックします。そのため、出勤カードの管理方法は、ほかの職員とは違ってくるのです。

派遣職員は、勤務開始と終了時に出勤・退勤したことを出勤カードに記入して、派遣先事業所の承認を得たあと派遣元の会社にカードを送付しないといけません。

派遣職員の勤怠チェックは、ほかの職員よりも手間がかかります。そのため、通常の業務に加えて勤怠チェックのひと手間が、意外にストレスになるものなのです。

指導職員がつかずいきなり現場に出される

介護派遣でありがちのが、十分な指導や研修がないまま現場に出されるケースです。

介護の経験豊富な職員だったとしても、初めての職場なら戸惑うことばかりでしょう。

それなのに、業務内容や施設のルールなどを、自分で探って覚える必要がでてくるのです。

介護派遣の仕事をするのなら、初勤務で最前線に配置されても対応できるように、基本的な業務知識は身に付けておいてください。

自分の判断でどこまでやっていいのか悩む

派遣職員として働く場合、自分の判断でどこまで業務を進めて良いのか迷うことがよくあります。

派遣先の職場が派遣職員の仕事範囲をしっかり線引きしてくれたらいいのですが、あいまいなままにしているケースも珍しくありません。

その場合、どこまでやっていいのか派遣職員は困ってしまいますが、実はほかの職員も「どこまで任せていいのだろう」と戸惑っているのです。

業務の線引きをあいまいにしている職場で介護派遣として働く場合「どこまでやっていいのか、ダメなのか」を考えながら仕事をしなければならず、やりにくさを感じるかもしれません

社員が派遣職員の給料に興味津々

介護派遣職員は、派遣先のパートやアルバイトより時給が高い傾向にあります。

時給が高いことをほかの職員も知っている場合が多いため、中には派遣職員の給料に非常に興味を持っている職員がいるものです。

しかし、給料がいくらなのか聞かれた場合、正直に伝えていい方向に行くケースはないと覚えておきましょう。

給料の額を聞かれた場合は、具体的な数字を避けて「まあ、生活できる程度ですね」といったあいまいな返答をするのが無難です。

給料額をぼかして答え、職場内に不必要な緊張を持ち込まないようにしてください。

気づくと周りは派遣職員ばかり

介護事業所で働く正社員が辞めた場合、取り急ぎ派遣職員で穴を埋めるのはよくあることです。とにかく次の正社員を雇うまで、派遣職員でつないでおくのは常套手段でしょう。

しかし、次の正社員がなかなか来ず、その間も正社員の離職が続いてしまう。その結果「現場で働いているのはほとんど派遣職員」のような状況も、あるあるです。

「フロアにいる職員がほとんど派遣で、指示を貰おうにも誰に聞いたらわからない」

そのような笑えない状況を経験した派遣職員は、少なくありません。

職場に慣れる前に契約が終わる

介護派遣の契約期間は比較的短いことが多いため、職場に慣れたころに契約が終了することもよくあります。

「なかなかいい職場に派遣された。頑張って契約が継続できたらいいな」と期待したのをよそに「来月いっぱいで契約が終了です」と、慈悲のない言葉にうちのめされた方も多いはず。

派遣職員は派遣が決まっても、次の契約を見据えた行動が必要になるのです。

「派遣には高い金を払っている」と時間いっぱい働かされる

「高い時給を払っている派遣職員には、目いっぱい働いてもらわないと」と、これでもかと派遣職員に多くの業務を命じる職員もいます。

おそらく高い時給を払っているため、派遣職員が少しでも休んだら損をしている気分になるのでしょう。

派遣職員を少しでも多く働かせようと考える職員だと、対応困難な利用者は当然派遣職員に任せます。また、派遣職員の夜勤業務が少し早めに終わって一息ついているときにも、容赦なく次々と業務を命じるでしょう。

しかし、1秒たりとも休めないのでは、身体が持ちません。自分の健康を第一に考え、無理のない範囲で業務に取り組みましょう。

あまりにも理不尽に感じる場合は、派遣会社に相談することも効果的です。

正社員になるようにしつこく勧誘される

派遣職員でバリバリ働いていると、正社員への転職を勧められることもよくある話です。

しかし「長く働きたい職場ではない」「キャリアプランに合わない」と感じるなら、勇気を持って断りましょう。

自分の条件や希望に合った仕事を探すことが、最終的に満足のいくキャリアを築く鍵となります。

せっかくの申し出を断るのは心苦しいですが、以下のように断ると波風も立ちません。

「正社員への転職の提案、嬉しいです。ただ、派遣職は私にとってプライベートの時間を確保しやすく、バランスが取りやすいです。正社員になると時間制約が増えてしまうので、しばらくは派遣職員でいたいと思います」

派遣される職場は労働環境の悪いケースが多い

派遣職員として働く場合、残念ながら労働環境が良くない職場に出会う確率が高まります。

人手不足に陥っている介護事業所は、精神的・肉体的に大きな負担のかかる業務が常態化しています。その結果既存の職員だけでは人員が不足し、ギャップを埋めるために派遣職員の力を借りるのです。

しかし、新たに派遣される派遣職員にも過酷な条件を強いるため、労働環境の悪さは改善されずにさらなる人手不足を生み出します。

そのため、労働環境の悪い介護事業所は、介護派遣職員を必要とする連鎖を延々と続けていくのです。

介護派遣で働き続ける場合は「労働環境の悪い事業者に派遣される可能性もある」と、ある程度の覚悟はしておいてください。

嫌われる介護派遣職員の特徴

頭を抱え悩む女性介護士と、うなだれる高齢男性

介護派遣職員として働く場合、ほかの職員に避けられてしまう特徴がいくつかあります。

以下にあげる3つの特徴を持っている方は、ほかの職員に避けられる行動を取ってしまいがちなので、最後まで確認して気を付けるようにしてください。

嫌われる派遣職員の特徴
  • 責任感がない
  • 面倒な仕事を避ける
  • オムツ交換が極端に遅い

責任感がない

派遣職員は臨時のスタッフですが「私は臨時だから」と責任感の欠如した態度を取ると、職場での評価が低くなり嫌われる原因となります。

たしかに、派遣職員は残業や契約外の業務を断る権利を持っていますが、契約内の業務に関しては他の職員と同じように責任を持って取り組むことが期待されています。

技術や経験がある派遣職員でも、責任感がなければ職場の信頼を得られません。逆に、未経験でも責任感を持って業務に取り組む派遣職員は、職場から高く評価されるでしょう。

「派遣職員だから職場の評価なんて関係ない」と考えている方もいるようですが、大きな間違いです。

職場の評価はかならず派遣会社に伝わります。派遣会社としても、職場での評価が低い派遣職員には仕事を積極的に紹介しづらくなるでしょう。

面倒な仕事を避ける

対応が難しい利用者のケアや体重のある方の排泄介助といった困難な仕事から逃げていると、同僚からの信頼を失いやすくなります。

とくに介護の現場では、困難な業務も平等に分担することがチームワークを築く上で重要です。

楽な仕事ばかり選んで行っている方とは、誰も一緒に働きたいとは思わないでしょう。

オムツ交換が極端に遅い

オムツ交換を早く正確に行えることは、とくに入所系の介護施設では仕事のやりやすさに直結します。

オムツ交換が少し遅い程度なら、問題になることは多くはないでしょう。しかし、ほかの職員が利用者3名のオムツ交換を終えているのに、介護派遣職員が1人の利用者のオムツ交換でもたついているのなら話は違います。

とくに夜勤ではほかの職員の負担が増大します。少数の職員で数十名のオムツ交換をするため、オムツ交換が遅い介護派遣職員の負担が、ほかの職員にのしかかるのです。

そのため、夜勤明けでは「ほとんど私がオムツを換えた」とのぼやきが聞こえてくるでしょう。オムツ交換のスキルは、ぜひともマスターしておきたいところです。

介護派遣はいじめのターゲットになりやすい

棚に手をつき、もう片方の手で顔を覆って悲嘆にくれる女性介護士

介護派遣の職員がいじめのターゲットになるケースは、残念ながら存在します。

介護派遣職員がターゲットになる理由は、以下のものが考えられます

  • 職場独特の文化やルールに疎いため誤解を生じやすい
  • 給与や待遇の違いがほかの職員の反感を招く
  • 管理者のサポート不足

いじめを受けた場合は我慢せず、派遣会社の担当者と相談しましょう。

著者
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担当者に相談しても真剣に取り合ってくれない場合は、派遣会社の変更も選択肢に入れた方がいいでしょう。

≫おすすめの介護派遣会社5選

介護派遣に向いている人とは

木々に囲まれた場所で上を向き、笑顔を見せる女性介護士

ここでは介護派遣として働いて、成功できる方の特徴を取り上げます。

介護派遣で引く手あまたの職員は、以下の3つの資質を持ち合わせています。介護派遣で働く方は最後まで目をとおして、介護派遣にマストな資質を身に付けましょう。

介護派遣に向いている人の特徴
  • 柔軟に対応できる人
  • 空気が読める人
  • 派遣と割り切れる人

柔軟に対応できる人

さまざまな環境や状況にすばやく適応できる人は、介護派遣の仕事に向いています。

異なる施設のルールや文化にすばやく慣れて効率的に業務をこなす能力や、急なスケジュール変更にも臨機応変に対応する柔軟性のある人材は、どの事業所でも重宝されるでしょう。

さらに、新しく出会った利用者さんの心の状態をすぐに理解して優しく寄り添うなど、個別のニーズに合わせて柔軟にケアを提供できる方も、介護派遣の仕事で活躍できます。

柔軟性は介護派遣において非常に価値が高く、職員や利用者からの信頼を得るために重要な能力なのです。

空気が読める人

介護派遣において「空気を読む能力」は、派遣の仕事をスムーズにするための必要な能力といえます。

「空気を読む」とは、たとえば以下のようなケースです。

「空気を読む」の実例
  • ほかの職員が忙しいときには、自発的に手を貸してチームワークをサポートする
  • 施設の環境の悪化にいち早く気づいて、整理や掃除をする

周囲の状況やニーズを敏感に察知し、それに応じた行動を取れる方は「ぜひ契約を継続してほしい」と、一緒に働くことを熱望されるでしょう

派遣と割り切れる人

介護派遣の仕事を続けるためには、割り切った考えも必要です。

介護派遣の仕事は、複雑な人間関係やすぐに代わる職場、正社員との待遇の違いなどに左右されることなく継続的に高品質なケアを提供する必要があります。

人間関係が複雑でも、派遣先が次々に代わっても「介護派遣」という仕事を理解してその働き方に納得できる方は、介護派遣が天職といえるでしょう。

介護派遣職員に必要な立ち回り

椅子に腰かけた高齢の男女と、トレイを両手に抱えて笑顔で談笑する女性介護士

介護派遣職員は人間関係の構築が難しく働く期間も限定されているため、ほかの職員とは違う独特の立ち回りが必要になります。

介護派遣職員としてストレスなく仕事に打ち込むために、以下にあげる4つの立ち回り方を読んでヒントにしてください。

派遣職員に必要な立ち回り
  • 陰口をたたかない
  • 給料の額を教えない
  • 上から目線にならない
  • 以前の職場と比べない

陰口をたたかない

介護派遣職員においては、とくに「陰口をたたかないこと」は非常に重要です。

同僚への悪口は職場内の信頼関係が崩れ、人間関係が悪化します。悪口が派遣職員の口から発せられた場合は、なおさらでしょう。

さらに陰口は派遣職員自身の評判を下げ、再雇用やほかの派遣の仕事に悪影響を与える可能性があります。

派遣職員の態度で派遣先の職場雰囲気が悪くなったとあれば、派遣会社も次の仕事を紹介しづらくなるでしょう。

給料の額を教えない

介護派遣職員は、給料の額を聞かれても教えない方が無難です。

派遣職員は、ほかのパートやアルバイトより高い給料を受け取っています。そのため、給料の額を明かしてしまうと、職場内で不公平感が生じるかもしれません。

「長年働いてきたのに、最近来た派遣職員の方がいい給料をもらっている」となったら、いい気分はしないでしょう。

給料を聞かれたら、波風が立たないようにあいまいにぼかしましょう。

上から目線にならない

介護派遣職員は「上から目線にならない」ように注意してください。「上から目線」の態度をとる人とは、誰しも距離を置きたいと感じます。

派遣職員が自身の経験やスキルに自信過剰になり、同僚や常勤職員に対して指導的な態度を取ると、過剰な反発や不満を招いてしまいます。

当然契約が継続されることは期待できません。さらに、派遣会社が事情を知ったら、次の仕事を紹介するのにも二の足を踏むことでしょう。

以前の職場と比べない

介護派遣職員として働く場合「以前の職場と比べない」ことが肝心です。

新しい派遣先の職場に就いた場合、以前の職場の環境や仕事のすすめ方などを頻繁に引き合いに出してしまうと、新しい職場での人間関係構築に悪影響を及ぼします。

「以前の職場は効率的だった」と主張し、新しい職場のやり方を批判的に比較してしまうと、同僚から反感を買ってしまうのは目に見えています。

前の職場が良かったと感じても、まずは今の職場に慣れることが先です。その上で「こうすれば、もっと良くなりますよ」と提案しましょう。

提案する場合でも、今の職場への敬意を忘れてはいけません。

【まとめ】介護派遣で働く前に「あるある」を確認

左手のボードをもち、右手にペンを握って笑顔を見せる女性介護士

介護派遣職員はほかの職員と立場が違うため、職場のなかで浮いてしまいやすいポジションです。そのため、介護派遣職員特有の「あるある」な事例を知っておくことは、スムーズに仕事をするために必要な知識といえます。

たとえば「即戦力を期待されているため、仕事初日に誰のフォローもなく現場に放り出されるケース」や「どこまでが自分の業務かをはっきり指示されないケース」はめずらしくありません。

また、ほかのアルバイト・パート職員よりも時給が高いため、給料の話はよりデリケートなものになるといった事情も知っておいた方がよいでしょう。

介護派遣で働く方には介護派遣特有の事情を知った上で、相応しい立ち振るまいをしないと、思わぬトラブルに巻き込まれてしまいます。

介護派遣で働く方は介護派遣特有の「あるある」の知識を手に入れ、介護派遣職員にふりかかる困難に備えておきましょう。すくなくとも、記事にある「介護派遣職員に必要な立ち回り」は、ぜひ身に付けてください。

ABOUT ME
石川 直也
30歳のときに介護業界に足を踏み入れ19年。介護主任・介護支援専門員・管理職と積み上げたキャリアを捨て、50歳を前にしてWebライターに転身しました。                            主に介護に関する記事を執筆しています。                                                 保有資格:介護福祉士(登録番号:第D-477662号)/介護支援専門員/介護福祉士実習指導者講習会修了/介護プロフェッショナルキャリア段位制度(アセッサー講習)修了/認知症介護実践者研修修了