「派遣介護士として働きたいけど、きついからやめた方がいいといわれた」と、派遣介護士への一歩を踏み出せず迷っていませんか。
とはいっても「派遣」とした働いたことがない方は、自分に派遣の仕事が務まるか不安ですよね。
そこで今回は介護の仕事を19年、現場の職員から施設ケアマネ・管理職を経験した筆者が、きついといわれる派遣介護士の仕事内容やメリット・デメリット、派遣介護士に降りかかるトラブルなどを明らかにします。
本記事を読み終えるころには、不安なく「派遣介護士」の仕事で活躍できる自信がついているでしょう。
本記事に最後まで目を通し、派遣介護士のきつい部分や派遣介護士のメリット・デメリットを理解してください。
記事の内容を理解し行動すれば、あなたの力を十分発揮して派遣介護士として成果をあげられますよ。
派遣介護士の仕事内容は正社員と変わらない
派遣介護士の仕事に興味がある方なら、どのような仕事をするのか気になりますよね。しかし、基本的に派遣先で働く職員と大差ないため、心配しなくても大丈夫です。
仕事内容は、三大介護を中心に利用者の介護を行います。
ただし、責任ある仕事は正社員が行うなど、線引きされている場合もあるので確認は必要です。一方で「働く時間を選べる」「残業がない」など、働き方には違いがみられます。
とはいえ、契約外のことやサービス残業を頼まれる事例もあるため、おかしいと感じたらすぐに派遣会社に相談しましょう。
派遣介護士のきついところ
派遣介護士の仕事は正社員とほとんど変わりません。それにも関わらず「派遣介護士はきつい」と感じる方もいます。とくに、次にあげる3つのケースについて「きつい」と感じるようです。
派遣介護士の仕事を始めて「こんなはずじゃなかった」と後悔しないように、最後まで読んで何がきついのか頭に入れておきましょう。
- 人間関係で悩む
- スキルが身に付かない
- 目の敵にされる
人間関係で悩む
派遣介護士の中には正社員やパート・アルバイトとの関係がうまくいかず、1人で悩んでいる方も多いようです。
派遣介護士は短期間の仕事なので、人間関係のトラブルとは無縁とのイメージがあります。しかし、契約を継続更新すると話は別でしょう。
長く働けば働くほど、人間関係はややこしくなります。その上、パートより時給が高いことや残業が無いなどの理由で、やっかみの対象になることもあるようです。
そのため、仕事上の悩みは一人で抱えず、派遣会社の担当者に吐き出しましょう。
スキルが身に付かない
派遣介護士の立場では、技術向上や知識習得の機会はなかなか得られません。
もちろん事業所にもよりますが、派遣スタッフには単純な作業しか任せないところもあります。
人手不足で一時的な雇用の場合、派遣介護士を育てようと考える事業所は少ないでしょう。
それゆえ、必要と感じる知識やスキルは、自分で本や研修などを探して学ぶ必要があります。
目の敵にされる
非常にまれですが、派遣介護士を頼みながら派遣介護士のことをまったく信用していない事業所も存在します。
派遣介護士に厳しくあたり「高い金を払っているから、一秒たりとも休ませるな」と、正社員に指示するところもあるようです。
たとえば、派遣介護士が夜勤業務を早めに終えた際、一息つくのも許さず「早番のために入浴準備を手伝って」と時間いっぱいこき使うとのこと……。
派遣というだけで正社員と扱いが違うのは、もはやいじめと言ってもいいでしょう。
これはきつい!派遣介護士のトラブル事例
派遣介護士の働き方を理解していたとしても、避けられない災難があるものです。そのため、派遣介護士特有のトラブルにはどのようなものがあるか、知っておきましょう
トラブルの内容を知れば、いざ自分の身に降りかかった際の助けになるはずです。
以下に5つのトラブルを取り上げました。それぞれに目を通し、自分が遭遇した場合に対処できるようにしておきましょう。
- 契約した条件と違う
- 希望休が認められない
- 自分の意見が通らない
- 派遣切りにあう
- 派遣会社が信用できない
契約した条件と違う
派遣介護士は契約を下に、仕事の範囲が決まります。しかし、残念ながら入職前に契約した条件が違う事例もみられます。
たとえば、残業はできないと伝えて契約したが「人がいないから残業するように言われた」といったケースも少なくありません。
ほかの職員が業務におわれて毎日残業している場合、断りにくい雰囲気になってしぶしぶ残業してしまうものですよね。契約と違うからといって、派遣先事業所と直接交渉するのは難しいものです。
契約した内容とかけ離れている場合は、迷わず派遣会社に相談しましょう。
自分では難しい派遣先との交渉も、派遣会社のコーディネーターに行ってもらえますよ。
希望休が認められない
まれにですが、派遣介護士を軽く扱う事業所もあります。たとえば休日の希望は正社員が優先で、派遣介護士は希望が通らない場合もあるようです。
派遣社員を軽く扱うところは、最初から派遣社員を信頼していない傾向です。派遣介護士には重要な仕事を任せてもらえず、頑張っても信頼を勝ち取るのは難しいでしょう。
自分の意見が通らない
派遣介護士の立場では効率の悪い業務に対して「こうしてはどうですか」と提案しても「派遣は出しゃばらないで」と、怒られるケースもよくあることです。
たとえ介護経験が豊富でも「派遣」というだけで認めてくれません。ただ、派遣介護士を認めないのは事業所の方針というよりも、そこで働く職員の資質の問題でしょう。
資質の低い職員は派遣介護士に対して少しのミスも許さず、ことあるごとに厳しく怒ってくるため、最大限の注意を払ってください。
度が過ぎると感じたら、我慢しないで派遣会社に相談しましょう
派遣切りにあう
気に入った職場なので長く働きたいと思っても、契約を更新できない場合もあります。
今までスムーズに契約更新をしていた場合でも、急に事情が変わるのはよくあることです。急に派遣切りを行うのは、主に以下の理由が考えられます。
- 人件費をおさえるため
- 派遣社員に問題がある
- 3年ルール回避
経営が悪化した場合は、非正規雇用の派遣介護士から削減されます。正社員の求人応募が増え、人材が安定してきた場合も派遣社員は整理されるでしょう。そして派遣介護士の働きぶりに満足していないケースもあります。
そして、派遣社員が3年を超えて同一の派遣先で働くと、派遣先の事業所は正規雇用に切り替えるか「無期雇用契約」に切り替えなければならない、いわゆる3年ルールがあります
3年ルールを避けるために、契約更新しない場合もあるのです。
派遣会社が信用できない
職場でのトラブルを派遣会社に相談したにもかかわらず「派遣先の肩を持つ」『「我慢も必要」と問題に向き合わない』などの例が、まれながらあるようです。
職場でトラブルにあって派遣会社も相談に乗ってくれないのは、非常につらい状況ですよね。
そのため、派遣会社がまともに取り合ってくれない場合は、厚生労働省の総合労働相談に相談してみてください。
職場のトラブルに関する相談や情報の提供などを、ワンストップで行ってくれます。予約の必要がなく、費用も無料です。
当然ですが信用できない派遣会社から、ほかの派遣会社に変更することも選択肢に入れてください。
本当にきつい?派遣介護士5つのメリット
「派遣介護士はきつい」と嘆く方もいますが、それでも多くの方が派遣介護士として働くことを選んでいます。
なぜなら、派遣介護士の働き方にはさまざまなメリットがあるからです。
ここでは派遣介護士として働く主なメリットを5つ紹介し、それぞれ詳しく解説します。
派遣介護士の仕事を考えている方はどのようなメリットがあるか確認して、派遣介護士として働くかどうか判断してください。
パート・アルバイトより時給が高い
派遣介護士はなんといっても、手軽に高い時給で働けるのが大きな魅力です。多くの介護事業所は人手不足のため、短期間なら高い時給でも人材を確保したいと考えています。
その点派遣介護士は長期雇用ではないため、一時的に人材不足を補うためには都合がいいのです。
令和3年度の「労働者派遣事業報告書の集計結果」によると、介護職の派遣平均は1日10,414円で、時給は1,301円です。
また、令和4年度の「介護重視者処遇状況等調査結果」によると、介護職員(月給のパート・アルバイト)の月給は196,640円で、時給に換算すると1,170円でした。
場所によっては1,500円を超えるところも珍しくありませんし、夜勤専従となると更なる上乗せが期待できますよ。
出典:
https://www.mhlw.go.jp/content/11654000/001132162.pdf
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04kekka.pdf
残業がない
派遣介護士は基本的に定時に退勤できるのも、多くの方から選ばれる理由の1つです。
介護の仕事で残業といえば、行事の準備や各種の記録といったところでしょう。
しかし、派遣介護士が行事を担当することは、ほとんどありません。また、記録業務を担うことも少ないでしょう。
それゆえ派遣介護士は、残業するほど仕事を抱えることはないのです。
また残業できるかどうかは、事前に契約で決められています。残業をしない契約なら、残業を求められることはありません。
とはいえ、残業なしの契約にもかかわらず、サービス残業の形で残業を求められる場合もあります。
はっきりと言葉では言わず、残業する雰囲気を作り出すところもあるでしょう。
しかし、サービス残業が明るみに出て、労働基準法違反で罰則を受けるのは派遣会社です。サービス残業に関しては派遣会社も不利益になるため、残業させないよう派遣会社が事業所に注意してくれるでしょう。
サービス残業を強いられるのなら、迷わず派遣会社に相談してください。
普通の事業所は退勤時刻になると、率先して派遣介護士に退勤を促してくれますよ。
自分の希望する働き方ができる
自分の生活スタイルに合わせて働く時間を決められるのも、正社員にはない派遣介護士の利点です。
派遣介護士なら、以下のような正社員では難しいと感じる条件も柔軟に対応してくれますよ。
- 「子どもの送り迎えがあるから、8時〜16時まで」
- 「バリバリ稼ぎたいから、夜勤専従で働きたい」
- 「いろんな介護サービスで働きたいから、3か月で職場を変えたい」
自分の時間を大切にする方にとって、派遣介護士のスタイルはこの上ないメリットでしょう。
派遣先が合わなかった場合辞めやすい
派遣された事業所が働きにくいと感じる場合でも、少し経てば職場が変わります。それゆえ「派遣介護士は正社員よりも安心感がある」と感じる方も多いようです。
派遣介護士で実際に働いてみて「合わない」と感じた場合、契約を更新しなければそのまま円満に辞められます。
また、パワハラやいじめにあっていて「契約満了まで待っていられない」など、相応の理由があれば、すぐにでも辞められます。派遣会社に相談できる点も、安心できるポイントでしょう。
反対に正社員の場合「苦手な人とこの先ずっと、顔を合わせなければいけないのか…」と、仕事で嫌なことがあっても半ばあきらめてしまいますよね。相談しようにも、上司に相談するのは気が引けるものです。
ただし辞めやすいからといって、何度も契約途中で辞めると信用が下がりますよ。
派遣会社からの信用が下がってしまうと、仕事を紹介してくれなくなる可能性があるので注意してください。
就職前の面倒な面接がない
派遣介護士に就職面接はありません。就職前に派遣先の事業所が、派遣職員のことをいろいろと探るのは禁止されています。
派遣介護士が雇用契約を結んでいるのは派遣会社であるため、派遣先事業所は派遣労働法の規定により面接できない決まりなのです。
派遣労働法第26条の6では「労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない」
上記の派遣労働法により、以下の行為は禁止されています。
- 派遣先事業所との面接
- 履歴書の派遣先事業所への提出
- 派遣先事業所が年齢・性別を限定する
- 派遣先事業所が個人情報を聞く
「面接であれこれ質問されるのが苦手」と、ほとんどの方が就職面接に苦手意識を持っているのではないでしょうか。いろいろ質問されると、責められているようでなんだか辛くなりますよね。
その点派遣介護士で働く場合は、就職面接がないので気楽です。
派遣先で働く前に派遣先の職員と顔合わせをする場合でも、派遣会社の人が同席して上記の行為がないようにあなたを守ってくれますよ。
出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=360AC0000000088#F
派遣介護士に向いている人
派遣介護士にメリットを感じている方でも派遣介護士に適性がなければ、長くは続かないでしょう。続いたとしても、仕事が辛く感じるかもしれません。
以下の「派遣介護士に向いている人の3つの特徴」の解説を確認し、自分が派遣介護士に向いているか振り返ってみましょう。
- いい意味で派遣と割り切れる人
- プライベートを大切にしたい人
- いろいろな施設を経験したい方
いい意味で派遣と割り切れる人
派遣介護士の仕事は同じ職場に長く勤めることはなく、契約を継続したとしても最長で3年です。当然、職場を点々とするため、人間関係や利用者さんとのつながりもその都度リセットされます。
さらに、正社員とは違ってキャリアアップも期待できません。
そのため、職場環境の変化や正社員との待遇の違いにとらわれずに「派遣介護士」の仕事に納得し、目の前の仕事に集中できる人でないと派遣介護士を続けるのは難しいかもしれません。
プライベートを大切にしたい人
仕事は生活費を稼ぐ手段と割り切り、自分の時間を大切にしている方にとって、派遣介護士の仕事は相性抜群でしょう。
派遣は働く時間を柔軟に決められる点で、魅力のある働き方です。とくに子育て中の方なら、保育園の送り迎えの時間が気になりますよね。
子育て以外にも、残業せずに趣味に没頭したい方や副業に精を出したい方にもピッタリです。
いろいろな施設を経験したい方
派遣介護士なら、短期間で多くの種類の介護事業所を経験できます。
派遣介護士は当然介護の仕事をしますが、介護の仕事といってもサービス形態により仕事内容はさまざまです。
そのため「介護で働きたいが、どの介護サービスが自分にあっているかわからない」と、悩んでいる方も多いことでしょう
どの仕事が自分に合っているか迷っている方は、派遣介護士で働いてみるのも1つの方法です。そして、派遣で自分の働きやすい職場をみつけたら、直接雇用にしてもらえないか交渉するのもいいでしょう。
ただし、直接雇用への切り替えは事業所に金銭的な負担をかけるため、自分の価値をあげておく必要があります。
派遣先が合わない「辞めたい・きついと」感じたら
働きにくい職場に派遣されてしまったら、フットワークの軽い派遣のメリットを活かしてさっさと次の職場に移りましょう。
とはいえすぐに辞めるのではなく、円満に辞めるためにも契約期間が満了するまでは何とか働きましょう。契約期間を満了し更新しなければ問題なく辞められますよ。
辞める場合、事前に契約を更新しないことは伝えてください。前もって伝えておけば、派遣先事業所も辞める日までに人材確保できるため、円満に辞められます。
次の契約につなげるためにも、職場でトラブルを起こさないようにしたいものです。
とはいえ、契約満了まで待てない人もいるでしょう。契約途中でも、やむを得ない理由がある場合退職は可能です。
やむを得ない場合とは、引っ越しや病気、家庭の事情やハラスメントなどが該当します。やむを得ない理由があるのなら、派遣会社に相談しましょう。
【まとめ】派遣介護士はきつい?でもメリットがいっぱい
この記事では、派遣介護士として働く際のきついところやメリット・デメリット、派遣介護士に降りかかるトラブルなどを解説しました。要点をまとめると以下の通りです。
- 人間関係で悩む
- スキルが身に付かない
- 目の敵にされる
パート・アルバイトより時給が高い
- 残業がない
- 自分の希望する働き方ができる
- 派遣先が合わなかった場合辞めやすい
- 就職前の面倒な面接がない
派遣介護士として働く方は、以上の点をよく理解し、自分に合った働き方を見つけることが重要です。
自分の生活スタイルに合わせて適切な派遣先を選び、派遣介護士としてバリバリ活躍してください。
まずは、介護に特化した派遣会社の情報集めからスタートしましょう。