「介護の仕事をしたいけど、正社員と介護派遣のどっちの方がいいんだろうか」そのように考えて、自分に合っている働き方に迷っていませんか?
とはいっても派遣とした働いたことがない方は、正社員の身分をあきらめてまで介護派遣になるメリットがあるのか悩みますよね。
そこで今回は介護の仕事を19年、現場の職員から施設ケアマネ・管理職を経験した筆者が、介護派遣のメリット・デメリットを取り上げ正社員とどちらがいいのか明らかにします。
本記事を読み終えるころには、介護派遣と正社員のどちらが自分に合っているかがわかるでしょう。
本記事に最後まで目を通し、介護派遣と正社員のメリット・デメリットを理解してください。
記事の内容を理解すれば、あなたに相応しい働き方を選択できるでしょう。
介護派遣って具体的にどんなサービス
介護派遣とは、派遣会社に雇用され契約期間、派遣先の介護事業所で仕事をする働き方です。
介護派遣で働く場合、派遣会社があなたの経験やスキル、希望条件に合った仕事を紹介してくれますよ。
ここでは介護派遣について以下の4つの項目を取り上げ、詳しく解説します。介護派遣で働く前に、基本情報を知っておきましょう。
- 派遣社員と正社員・パートの違いは雇用主
- 給料の支払い元は派遣会社
- 介護派遣は登録型派遣と紹介予定派遣がある
- 同じ施設で働けるのは最長で3年
派遣社員と正社員・パートの違いは雇用主
派遣社員と正社員やパートとの大きな違いは、誰が雇用主かというところです。
- 派遣社員:雇用主は派遣会社で、給料はパート・アルバイトよりも高い傾向にある
- パート・アルバイト:雇用主は実際に働いている事業所
給料は派遣社員の方が、パートやアルバイトよりも高い傾向です。
介護事業所は人手が足りないため、緊急的に派遣社員の手を借りています。そのため、介護事業所は採用後すぐにほかの職員並みの働きを期待します。
パート並みの給料では、事業所の高い要求にこたえられる人材は集まらないでしょう。
給料の支払い元は派遣会社
介護派遣では、給料や福利厚生などは派遣会社が負担します。一方で、仕事の指示は派遣先の職場が行います。
派遣先の会社は、給料や就業場所について口出しできません。
派遣先の職場がサービス残業を命じることや、契約した部署以外で働くような指示も無効です。
もし、派遣先の職場が給料や就業場所について何かしらの指示をした場合は、すぐに派遣会社に相談しましょう。
介護派遣は登録型派遣と紹介予定派遣がある
登録型派遣
一般的に派遣というと「登録型派遣」を指します。
登録型派遣は、派遣会社と雇用契約を結び、契約期間中は派遣先で業務を行います。契約期間が終了すれば、派遣会社との雇用契約も終了です。
登録型派遣として契約できる期間は最長3年です。派遣の契約期間が終わり、次の派遣先が決まれば再度雇用契約を結びます。
途切れなく仕事をしたい場合は、派遣期間中に次の派遣先を見つけておく必要があります。
紹介予定派遣
「紹介予定派遣」は、派遣先で正社員・契約社員になることを前提に結ぶ雇用契約です。契約期間の最長は6か月ですので、派遣社員はその間に派遣先で働くかを決めます。
紹介予定派遣のメリットは、働く人・雇う人のミスマッチが防げることでしょう。事業所は派遣社員の人となりや働きぶりを確認でき、派遣社員は職場の雰囲気や待遇、働きやすさがわかります。
また、派遣社員は派遣会社のサポートを受けながら正社員・契約社員になるかどうか検討できるため、初めて転職する方でも安心です。
ただし、正社員・契約社員になるには、派遣先の企業と派遣社員両方の同意が必要です。一方が希望しても、もう一方が拒否すれば契約は成立しません。
必ずしも正社員・契約社員になれるとは限らないのです。
同じ施設で働けるのは最長で3年
派遣社員として同じ施設の同じ部署で働ける期間は、31日以上3年以内と決められています。31日未満の派遣は「日雇い派遣」に該当し、介護業界では労働者派遣法で禁止されています。
同じ施設で働ける期間に3年未満と制限があるのは、以下の理由からです
- 派遣社員の安定的な雇用
- 派遣社員のキャリアアップを支援。
派遣社員が同じ施設で3年間働いた場合、派遣先の事業所は直接雇用や無期雇用に切り替えないといけません。(※「3年ルール」と呼ばれます)
派遣社員が同施設の同部署で3年を超えて働いた場合に行われる「雇用の安定化措置」と「3年ルールの例外」について解説します。
雇用の安定化措置
派遣社員が同じ職場で働いた期間が3年を過ぎると、派遣会社から「雇用の安定化措置」が行われます。
「雇用の安定化措置」とは、派遣会社が派遣先の職場に対して、派遣社員の直接雇用を依頼する措置です。
「雇用の安定化措置」は派遣会社に義務づけられているため、派遣社員から求められたら「雇用の安定化措置」の実施や新たな派遣先の紹介、派遣先で無期雇用への切り替えなどの必要な措置を行う義務があるのです。
3年ルールの例外
派遣社員が同一職場で3年以上働いた場合、派遣会社は雇用の安定化措置を行わなければなりませんが、以下に当てはまる方は例外です
- 年齢が60歳以上である
- 初めから無期雇用派遣契約を結んでいる
- 期間限定のプロジェクトに従事している
- ひと月の勤務日数が、通常の労働者の半分以下で10日以下に限定されている
- 産前産後休業・育児休業・介護休業などで休業している人の代わりに派遣されている。
以上の方は、3年を超えて同じ職場で派遣社員として働けます。
介護派遣と正社員の違い
介護派遣と正社員では雇用の形態や働き方など、多くの違いがあります。
介護派遣は、勤務時間について柔軟に対応してくれます。しかし、働ける期間が決まっているため、契約期間が終わるとほかの職場を探さないといけません。
一方、正社員の場合勤務時間は一定ですが、安定した雇用とキャリアアップの機会があります。
そのほかの相違点については、以下の表を参照してください。
特徴 | 介護派遣 | 正社員 |
---|---|---|
雇用形態 | 派遣会社と契約 | 企業と直接契約 |
給与体系 | 主に時給制 | 固定給 |
労働時間 | 柔軟に対応してくれる | 定時勤務が一般的 |
労働条件 | 短期契約が基本・残業はない、短時間労働などにも柔軟に対応 | 長期的な契約 |
長期雇用の見込み | 低い(契約期間に依存) | 高い |
勤務の柔軟性 | 高い(短期・長期、場所の選択) | 限定的 |
福利厚生 | 派遣会社に依存、一般的に限定的 | 充実していることが多い |
社会保険 | 派遣会社による | 完全加入 |
雇用の安定性 | 比較的低い(契約に依存) | 高い |
キャリアパス | 短期的、多様な経験 | 長期的、昇進・キャリア発展の道 |
職場での地位 | 人員不足の穴埋め的な雇用が多い | 長期的な一員 |
スキルアップ | 自己研鑽に依存 | 事業所提供の継続的研修 |
雇用の自由度 | 高い(契約終了後の変更容易) | 転職が必要 |
【気楽】介護派遣の方がいい?9つのメリットを紹介
介護派遣と正社員の働き方には雇用形態や給与体系など、さまざまな違いがあります。そのため、どちらの働き方が自分に合っているか判断するのは、難しいところでしょう。
本章では、以下で介護派遣のメリットを9つ紹介し、それぞれ詳しく解説します。介護派遣と正社員のどちらがいいか迷われている方は、記事を最後まで読んでどちらを選ぶかの指針にしてください。
- 有休が取りやすい
- アルバイト・パートタイムより時給が高い
- 残業がない・しっかり支払われる
- 資格なしで未経験でもOK
- 働く場所を変えられる
- 面倒な面接なしで働ける
- ライフスタイルに合わせて働き方が選べる
- いろいろな施設で経験を積める
- 就業先は派遣会社が探してくれる
有休が取りやすい
派遣社員はほかの職員よりも、有休を使いやすい立場といえます。
派遣先の正社員ならば今後の人間関係やキャリアアップを考えてしまい「有給を使いたくてもなかなか使えない」と、感じる方もいるでしょう。
しかし、派遣社員は人間関係のわずらわしさとは距離を置けます。また、キャリアアップについては最初から望めません。そのため、派遣社員は気兼ねなく有給が使えるのです。
派遣会社と契約して6か月以上働くと、ほかの正社員と同様に10日の有給が発生します。何かしら用事がある場合は、しっかりと有給を使ってください。
有給を使う場合は、派遣会社と派遣先の両方に連絡しましょう。
アルバイト・パートタイムより時給が高い
介護派遣社員の時給は、同じ時給で働く無資格のアルバイトやパートタイムよりも高い傾向です。
令和3年度 労働者派遣事業報告書の集計結果によると介護派遣の時給は1,301円でした。
時給で働く介護職員の給与については、令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果から保有資格別に算出した給与額の結果を以下の表にまとめています。
介護職員の平均給与額(時給・非常勤) | |||
---|---|---|---|
保有資格 | 平均給与 | 実労働時間 | 平均時給 |
介護福祉士 | 134,680円 | 92.6 | 1,454円 |
介護職員初任者研修 | 115,790円 | 80.8 | 1,433円 |
資格なし | 111,960円 | 93.5 | 1,197円 |
表をみると、資格保有者は介護派遣の時給より高いのですが、無資格では派遣社員よりも低くなっています。
表に記載している給与には、さまざまな手当や一時金が含まれています。実際の時給は表記載のものよりも、さらに低くなるでしょう。
また、上記のデータは介護施設全体の平均です。地域や事業所により時給に差があるため、参考程度にとらえてください。
残業がない・しっかり支払われる
派遣社員は、原則時間給で派遣会社と雇用契約を結びます。そして残業した場合は、派遣会社が残業代をしっかり支給してくれるでしょう。
介護で働く正社員の場合、介護の記録は業務が終わってからサービス残業で行うところも少なくありません。また、行事が近づくとその準備で残業するのはあたり前です。
派遣社員は、記録や行事の準備などの残業とは無縁です。
サービス残業を強要された場合、派遣会社が罰則を受けてしまいます。そのため、多くの派遣会社は、派遣社員にサービス残業させないように気を使っているのです。
派遣先の施設がサービス残業を強いると、派遣会社がサービス残業を命じた施設に対して注意してくれます。悪質な場合は、契約を破棄する場合もあります。
そのため、派遣先の事業所に残業を命じられた場合は、すぐに派遣会社に相談してください。
資格なしで未経験でもOK
介護の派遣は無資格でも、多くの求人があります。正社員なら資格を要件にしている事業所でも、派遣なら無資格でもOKのところも多いようです。
また介護派遣で働いた期間は、実務経験にカウントされます。そのため、将来介護福祉士取得を目指している方も、介護派遣は選択肢の1つに入れたいところです。
資格取得を支援している派遣会社もあるため、積極的に利用しましょう。
ただし、派遣を必要としている事業所は人手不足で困っていると考えてください。無資格の求人もありますが「できれば即戦力として働ける経験者がほしい」と考えている事業所が多いでしょう。
2024年4月から介護の仕事をする場合「認知症介護基礎研修」の受講が義務づけられているので注意してください。
しかし「認知症介護基礎研修」は1日で取得でき内容も難しくないので、心配する必要はありませんよ。
働く場所を変えられる
介護派遣は、職場を短期間で換えられるフットワークの軽さも利点でしょう。
派遣された職場になじめなかった場合でも、派遣会社に悩みを相談してください。まともな派遣会社なら、契約終了後にほかの施設を紹介してもらえるでしょう。状況によっては、契約途中でも変更してもらえるかもしれません。
対して正社員だと、人間関係の悩みを同僚に相談しづらいケースも多く、上司にもなかなか本音を言いづらいものです。そのため誰にも相談できず、悩みを抱えて仕事を続けている方も多いようです。
面倒な面接なしで働ける
派遣先の職場で働く前に介護派遣の面接を行う行為は、派遣法第26条で禁止されています
派遣社員はあくまでも派遣会社と雇用契約を結んでいるため、派遣先は介護派遣を人選する権利はないのです。
そのほかにも派遣法第26条で禁止されている行為には、以下のものがあります。
- 派遣先と面接
- 履歴書を派遣先企業に提出
- 派遣先企業が年齢・性別を限定
- 施設見学などで個人情報を聞く
ただし、顔合わせという形で、派遣予定の事業所を訪れるケースもあります。しかし、顔合わせの場合でも、派遣会社の方が同席してあなたを守ってくれるので心配はいりませんよ。
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/000852561.pdf
出典:https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/haken-shoukai20/dl/21.pdf
ライフスタイルに合わせて働き方が選べる
介護派遣はフルタイムでも働けますが週3日や夜勤だけ、日勤のみなど、働く日数や時間帯を選べる魅力があります。
また、稼ぎたい人は夜勤専従で働いたり、子どもの送迎に合わせて働く時間を決めたりと、仕事の目的や生活に合わせた働き方の選択が可能です。
出勤日数や勤務時間が決まっている正社員とは、大きく違うところでしょう。
派遣会社と契約する際に自分の希望の働き方を伝えれば、あなたのライフスタイルにあった求人を探してくれますよ。
いろいろな施設で経験を積める
介護派遣契約期間は3か月が一般的なため、短い期間でさまざまな事業所を経験できます。
介護業界は施設系、入所系といったさまざまな形態のサービスがあります。施設系でも特養や老健、グループホームなど多岐にわたるのです。
多種多様な環境で働くことで、事業所ごとの特徴や介護へのアプローチ方法を学べるでしょう。さらに、いろいろな事業所を経験していく中で、自分にあった職場に巡り合えるかもしれません。
形態の違う介護サービス事業所での経験は介護職としての視野を広げ、より豊かなキャリアを築くための基盤となるはずです。
就業先は派遣会社が探してくれる
介護派遣の働く場所は派遣会社が手配してくれるため、自分で探す必要はありません。派遣会社に登録して担当者に自分の要望を伝えれば、あなたの条件に合った職場を探してくれます。
正社員の求人は、自分の希望に合ったところを自分で探さなければなりません。
しかし、介護派遣の場合は、契約した派遣会社に「勤務日数・勤務時間・残業の可否・夜勤希望」などの条件を伝えるだけで済むのです。
「子どもの迎えがあるので、5時には帰りたい」「3か月だけ働いて、更新はしたくない」など、自分では交渉しづらいことも、派遣会社があなたの代わりにやってくれますよ。
介護派遣はやめとけ?9つのデメリットを解説
派遣介護士はパートやアルバイトよりも時給が高く、自分の生活スタイルに合わせた働き方ができるなど、さまざまなメリットがあります。
しかし、派遣介護士はメリットだけでなくデメリットも存在します。
メリットだけに目を向けて「聞いていたのと違った」と悔やむ前に、どのようなデメリットがあるか確認しましょう。
派遣介護士の主なデメリットは、以下の5つです。それぞれの項目に目を通し、悔いのない選択をしてください。
- ボーナスがない
- 契約期間が決まっている
- キャリアアップが期待できない
- 組織への所属感が薄いためやりがいを感じにくい
- 風当たりが強い事業所もある
ボーナスがない
派遣介護士には、ボーナスや退職金などはありません。そのため、短期的には高い時給で働けますが、年収ベースでは正社員よりも低い場合が多いでしょう。
また、派遣介護士は時給で働いているため、施設が休みになる月が多い場合は収入が減ってしまうのも厳しいところです。
定期昇給や役職手当も期待できないため、長期的には高収入とは言えないでしょう。
契約期間が決まっている
派遣介護士は働く期間が決まっていることに対してメリットと感じる方もいますが、場合によってはデメリットにもなります。
せっかくいい職場に巡り合ってしばらく働きたいと感じても、契約期間が終われば次の仕事を探さなければなりません。
契約は最長3年まで更新できますが、急な人員不足で派遣を活用しているケースでは、人員が補充できたら契約の更新は期待できないものです。
短期間で職場環境や人間関係がリセットされるのを、デメリットと感じる人も多いのではないでしょうか。
キャリアアップが期待できない
派遣介護士に昇進は縁がないものです。派遣介護士に頼っている事業所では「派遣は一時的なもの、いずれはいなくなる職員」と認識しています。
そのため、派遣先事業所は「責任あるポジションは正社員に任せたい」と考えるのが一般的です。
また、介護の知識習得やスキルアップなどの機会を派遣介護士に提供しても、リーダーとしての期待や成長は求めないでしょう。
1つの事業所でキャリアを積み上げていく働き方は、派遣介護士では期待できません。
組織への所属感が薄いためやりがいを感じにくい
派遣介護士は「職場に貢献できた」と、達成感を得る機会が少なくなると考えてください。派遣介護士は同じ事業所での契約を更新して長く働いても、正社員とは一線が引かれています。
派遣先事業所は派遣介護士のことをあくまで「派遣の人」であり、「いずれはいなくなる人」とみているものです。
たとえば行事の担当のような責任あるポジションは、正社員に割り当てます。行事の準備は勤務時間内では難しいため、担当職員は残業するかもしれません。
しかし、苦労して何かを成し遂げたときの達成感は、格別なものでしょう。
このように、責任ある立場で行事の準備を進めてきた正社員と派遣社員では、行事を取り仕切った後の達成感も違うことでしょう。
風当たりが強い事業所もある
派遣先で働く職員は、派遣介護士がパートやアルバイトより時給が高いことを知っています。
ゆえに、長く働いてきた自分よりも後から来た人が高い時給をもらっている事実に、不満を感じる人も出てくるかもしれません。
さらに、残業せずに定時で帰る派遣社員を、苦々しく見ている職員も中にはいます。
たいていの派遣先事業所は、派遣社員を定時で帰すように徹底しているものです。しかし「なんで派遣社員を早く返すために、自分が残業しないといけないの」と不満に思う職員がいても、不思議ではありませんよね。
契約期間で切られることがある
介護派遣は継続的な雇用が保障されていないため、安定性に欠ける働き方です。契約期間が終われば、そのまま契約を更新ができず終了となる可能性も考えておかないといけません。
契約が更新されなかった場合、新たな派遣先を見つけるまで収入が途絶えてしまいます。そのため、契約が切れる前に次の契約を見つけておく必要があります。
派遣先が介護派遣に求めているのは、人手不足の穴を埋めることです。事業所としては正社員が育って、事業所の中核となる正社員がほしいところでしょう。
そのため、人員がそろえば介護派遣は必要でなくなるため、契約を延長する必要がないのです。
即戦力を期待される
派遣社員は即戦力を期待されているため、すぐにでもほかの社員と同等の働きができるよう求められます。
介護事業所が派遣社員を採用する主な理由は、人員不足で困っているためです。
「コストがかかっても、派遣社員に頼らないと業務が回らない」と、人が足りなくて困っている事業所には、派遣社員に一から丁寧に教える余裕もありません。
即戦力を求められている場合、ヘルパー2級や介護職員初任者研修を修了していても、実務経験が少ないなら期待にこたえるのは厳しいでしょう。
とりわけ入所系は実務経験がないと、ハードルが跳ね上がります。とくにオムツ交換は、1人でできるレベルでないと苦労するかと思います。
ほかの職員との間に距離がある
介護派遣はほかの職員とは違った立場にあるため、どうしても打ち解けにくくなるものです。以下にあげる理由により、自然と距離ができてしまいます
- パートやアルバイトよりも時給が高い
- 残業はなく定時に帰れる
- たとえ残業しても、きっちり残業代が出る
自分より時給の高い人が、残業している職員より先に変えるのを快く思わない方もいるでしょう。
事業所によってはサービス残業があたり前のところもある中、定時に帰る介護派遣を恨めしく感じている方がいても不思議ではありません。
とはいっても、自分に風当たりが強くなったら我慢する必要はありませんよ。職場の雰囲気が合わないのなら我慢せず、派遣会社に相談してほかの職場を探してもらうのも1つの手です。
主体的に働けない
派遣社員の業務範囲は、契約に基づいて決められています。派遣社員は正社員の補助的な役割を期待されているのです。
しかし、積極的に職場をよりよくしていくことにやりがいを感じる方にとっては、物足りないと感じるかもしれません。
介護派遣のメリットを十分に活かせる人とは?
介護派遣のメリットを活かして仕事とプライベートを充実させている人は、どのような人なのでしょうか。
介護派遣には多くのメリットがありますが、メリットを活かせなければ意味がありません。
ここでは、介護派遣のメリットを活かせる人の特徴を3つ紹介します。解説記事を最後まで読み込み、あなたが介護派遣のメリットを活かせるかどうか確認しましょう。
- 働く期間や時間に柔軟性を求めている人
- いろいろな事業所や介護サービスを経験したい人
- 介護でもがっつり稼ぎたい人。
働く期間や時間に柔軟性を求めている人
勤務時間に融通の利く職場を探している方には、介護派遣はピッタリでしょう。
介護派遣は正社員と違い、就業前の契約で働く日数や時間、残業の有無を決定します。
たとえば、小さな子どもがいる方は平日の昼のみの勤務や、夏休み・冬休みなどの長期休暇中は勤務時間を減らして家庭の時間を増やすなどの働き方が可能ですよ。
介護派遣なら、自分にライフスタイルに合わせて柔軟に勤務時間を調整できるのです。
いろいろな事業所や介護サービスを経験したい人
数多くの介護事業所を経験したい人にとって、短い期間で仕事を換えられるのは大きなメリットといえます。
異なるタイプの介護施設を経験することで、幅広いスキルや知識の獲得が期待できますよ。
たとえば、特養では介護ニーズ・医療ニーズの高い方が多く、認知症グループホームでは認知症の方へのコミュニケーション技術が重要になります。
さまざまな介護サービスでの経験は、あなたをプロの介護職として成長させることでしょう。
介護でもがっつり稼ぎたい人。
介護派遣の夜勤専従は、高い収入を得たい方にとって良い選択肢です。
夜勤専従は一般的な日勤よりも高い手当が付くため、月収30万円以上もらう方も珍しくありません。インターネットでの求人をみると、月収50万円以上を提示している派遣会社も存在します。
夜勤の負担がとくに問題にならない場合、夜勤専従は収入面で大きなメリットを約束してくれますよ。収入を重視し夜間の勤務に抵抗がない方には、夜勤専従も選択肢に入れましょう
介護派遣で働いている人の口コミ
本章では実際に介護派遣として勤務しているかたの意見を、X(旧Twitter)で集めてみました。
実際に介護派遣で働く方の意見に耳を傾ければ、介護派遣がどのようなものかイメージできるかもしれません。
登録制の訪問介護派遣
最高月収84万らしいすげぇな。
フリーでいろんな働き方できるようになってきていいね。
介護も安定した需要があるし、家から出ないで稼ぐ術も身につけてるし続けてるし
安定性という意味ではわりといい感じな気がしてる。
時間拘束嫌すぎてもう介護の常勤は嫌だけど😂
引用:X
多様な働き方ができていると、介護派遣の働き方に満足しているようです。時間を拘束されるのが嫌な方には、介護派遣は最適でしょう。
しかし、登録制の訪問介護派遣で、月収84万円はすさまじいの一言です。
[子育て中の仕事は介護派遣がおすすめ!]① 子育てと仕事、両立のポイント!
1.ほかの人の手を借りる 保育園や祖父母などの力を借りて乗り切るのはひとつの手ですブ。
2.働く時間を工夫する
3.働き方を工夫する 「残業のない派遣業務を選ぶ」 なども、選択肢のひとつとなりますブ。
引用:X
子育て中の方に介護派遣を薦めるポストで「残業のない派遣業務を選ぶ」ことを勧めています。
介護派遣は残業がないことに加えて働く時間を決められるのも、子育て中の方にはありがたいですよね。
介護派遣と正社員!結局どっちの方がいい?
介護派遣と正社員のどちらが良いかについては、個人のライフスタイルと仕事に何を求めるかで変わります。
短期間で多くの経験を積みたい人には介護派遣が適していますし、安定した雇用や長期的なキャリアパスを求める人には正社員があっています。
介護派遣と正社員のどちらがいいかは、個人の働き方の好みやキャリアの目標、生活の状況によって変わるのです。
介護派遣と正社員のどちらかを選択する場合は、それぞれの特徴やメリット・デメリットを、あなたの状況や仕事の目標などと照らし合わせて慎重に選んでください。
介護派遣で働く流れ
介護派遣の仕事に興味を持っても、何から始めたらいいのか迷いますよね。
本章では介護派遣の始め方を、順を追って解説します。介護派遣で働きたい方は、以下に掲載している流れを確認しそれぞれの解説を目に通してください。
- 登録・面談
- 仕事の紹介
- 施設見学
- 雇用契約・研修の実施
- 勤務開始
1.登録・面談
まず、派遣会社ウェブサイトの登録フォームから、必要事項を入力し送信します。数日以内にコーディネーターから連絡があるため、面談の日程を決めましょう。
面談では勤務条件についてヒアリングがありますので、自分の希望条件を伝えてください。ヒアリングをもとにあなたにあった職場のマッチングが行われるため、伝え残しがないようにしてくださいね。
2.仕事の紹介
面談であなたが出した条件と適正に合わせてコーディネーターが仕事をピックアップし、メールまたは電話で知らせてくれます。
すすめられた求人情報をよく読み、あなたの希望にあっているか確認してください。希望と会わない場合は、条件を再設定して再提案してください。
3.施設見学
希望の職場が見つかったら、働く前にその事業所を見学します。見学では施設の設備やスタッフの雰囲気を確認しましょう。
派遣予定の施設責任者や現場職員などと顔合わせをする場合はありますが、面接ではありません。介護派遣の場合、面接は行いません。
4.雇用契約・研修の実施
見学後働く意思が固まったら、派遣会社と雇用契約を結びます。その際に就業規則・労使協定・業務内容・初日に必要な持ち物などを確認してください。
その後「派遣前研修」で、介護実技や事業所での業務に必要な研修を受けます。介護派遣は、即戦力を期待されています。派遣後すぐに力を発揮できるように、派遣前研修で必要な知識・スキルを身に付けましょう。
5.勤務開始
雇用契約を結び派遣前研修が終われば、勤務開始です。派遣された直後はベテラン介護士といえども、勝手がわからず戸惑うものです。積極的に先輩職員に声をかけ、仕事を学びましょう。
また、派遣会社によっては、定期的にブラッシュアップ研修やメンタルサポートを提供しています。仕事上のことで悩んだ場合は、すぐにコーディネーターに相談してください。
【まとめ】派遣と正社員どっちの方がいいかはあなた次第
介護派遣は派遣先の事業所ではなく、派遣会社と契約を結びます。給料の支払いも派遣会社が行い、働く場所や時間、残業の有無などは事前に契約で決めておきます。
アルバイトやパートタイムより時給が高くライフスタイルに合わせた働き方ができるなど、多くの魅力がある働き方でしょう。
しかし、ボーナスがなくキャリアアップも期待できないなど、デメリットもそれなりにあるため、どちらの働き方がいいのか悩ましいところです。
それゆえ、介護派遣と正社員のどちらの働き方がいいのかは、あなたが仕事に何を求めるかで変わってくるでしょう。
自分の時間を大切にしたいのか、安定した雇用や長期的なキャリアパスを求めるかでも違ってきます。
それぞれの特徴・メリット・デメリットを吟味して、現在のあなたの状況や人生の目標を考えて自分にあった働き方を選びましょう。
まずはあなたの現在の状況確認や、今後どのようにしたいのかを考えるところから始めてみましょう。